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相談室便り心の相談室

心について

当相談室は「心のケア相談室」と名付けられております。私達は日常的に心という言葉を使いますが、そもそも、その心とは一体何なのでしょうか?心が見えないものであることは誰でも知っています。だからこそ、よくわからないものであるし、そもそも心は存在するのか?ということにすらなってきます。ですが、実際に心悩んだり、心傷ついたりして当相談室を訪れる人はいらっしゃいます。

中国の古の言葉に「心がなければ、見ようとしても見えないし、聴こうとしても聴こえない」とあります。心ない人は、物事の真実、あるいは相手の気持ちがわかりにくいのかもしれません。それ故に、心ない言動で相手の心を傷つけている、ということはあります。

フランスの作家であるサンテグジュペリは星の王子様の中で「本当に大切なものは見えないんだよ」と書いています。ということは、心という見えないものは、本当に大切なものであるとも言えます。

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心自体は見えないものかもしれませんが、姿形を変えて私達の前に現れてきます。心悩み、心傷ついた人達が出してくる様々な立ち居振る舞いは、ある意味、その心の現れなのでしょう。感情的になったり、涙を流したり、思ってもいない行動を取ったり…。本人は言うまでもなく、周りの人も困ってしまい、どうしたらよいのかわからなくなってしまいます。先ほど、心は見えない、と言いましたが、そうした立ち居振る舞いとして心は現れてきます。ですから、こんな風にも言えます。つまり、心は違った形で現れてくるので、とても見にくいものなのだと。しかし、その見にくいものの中にこそ、実は、美しくて大切な部分、その人を活かしている部分もあるのです。それが見出された時、その傷つき悩んでいる心は癒されるのかもしれません。

「ハウルの動く城」をご覧になった方は多いと思います。ソフィーという女性が魔法をかけられて醜い老婆に姿を変えられてしまいます。ですが、ハウルという魔法使いを愛し、自分の生き方を見出していく内に、徐々に元通りの美しい自分、否、更に美しい自分に変わっていきます。魔女のかけた魔法は、実は、見にくい心が見やすい姿形として現れる魔法だったのでしょう。ソフィーが自分の心の中の醜い部分に立ち向かい、そしてそれを乗り越えていったとき、美しい心が立ち現れてきたのです。

自分の心の深みに降りていき、病んでいたり傷ついていたりする部分を癒す旅は、一人ではとても辛く厳しいものです。それこそ、見にくい部分をたどっていく旅なので、道に迷いやすいし、見たくないと目を背けてしまいたくなります。だからこそ、その辛く厳しい旅を共にする者が必要なのでしょう。心について充分な知識を身につけ、その辛さや厳しさを共に耐えていける人が。

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