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キになる子ども達

最近、注意欠陥・多動性障害(AD/HD)やアスペルガー障害といった言葉が学校・医療・福祉現場で頻繁に使われています。問題行動や不適応行動を起こしていて、かかわる大人達が気になる子ども達にこれらの診断がなされています。大人達が対応に苦慮している子ども達にかかわる糸口を見つける上で、診断というのはとても大切な作業だとは思いますが、診断することによって、目の前でにっちもさっちもいかない行動を取っている子ども達を、大人達が理解したつもりになっているところもあるのではないかと思います。

インターネットや携帯電話をはじめとした個人中心の社会環境。相手の気持ちに配慮することなく、一方的に自分の思いを押しつける。あるいは、物に溢れた大量消費社会の中で、過剰な刺激で飽和状態になって落ち着かない、選択できない、振り回されてしまう。こうした社会情勢が、注意欠陥・多動状態や自己中心的で閉塞的な心理状態を生み出しやすいのは確かな話しです。

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しかし、果たしてこうした気になる子ども達が突然に立ち現れ、増加したのでしょうか?昔もそうした子ども達はいたのだとは思いますが、取り立てて障害視されていなかったのかもしれません。落ち着きのない子ども。ボーッとしてすぐ別の世界に行ってしまう子ども。それらが注意欠陥・多動性障害(AD/HD)につけられていた呼び名だったかもしれません。奇妙な子ども。不思議な子ども。独特の世界観を持っている子ども。それらがアスペルガー障害につけられていた呼び名だったかもしれません。確かに回りの人達も困りはしたでしょうが、それでも皆で支えあって共に生きていたのではないでしょうか。問題視することで、ある出来事や行動は問題化する、とも言われます。

ゆとりやつながりを持ちたいものです。焦っていても良いアイデアは浮かばないし、一人だとできることに限りがある。かかわる大人が変わること。色々な人々とつながること。そうした気配りによって、子ども達も変わっていきますし、色々な人とつながっていきます。

どんな子どもであっても可能性という種子を持っています。その種子は、適切な環境と栄養分によって必ず発芽します。その新芽に気づき、見守り、程よいかかわりをすることで、子ども自身が持っている成長力に基づいて、それぞれの個性を発揮した立派な樹になるのです。

小さな鉢に押しこまれ、綺麗に刈りこまれた盆栽が良いですか?四方八方に伸び広がっているけど、しっかりと自立している大樹が良いですか?

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