トラウマの治療について
トラウマとは、強い恐怖や不安を伴う、自分の対応能力を超えるような出来事によって生じた「心の傷」のことです。出来事がトラウマとなるかどうかには個人差がありますが、トラウマによって、その出来事がいつまでたっても今起こっていることのように強く感じられたり、不安感や恐怖感、イライラが続くことがあり、治療やケアが必要な場合もあります。
トラウマ治療では、専門的な経験を積んだ医師や臨床心理士が、トラウマとなっている体験にゆっくりと触れていきます。そして「それは今起きている事ではなく過去のことだ」と受け止められるようになったり、「過去」ではなく「今」や「未来」に思いを向けられるようになることを目指しながら、症状の改善を図っていきます。
当院では、経験を積んだスタッフが、EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)やTFT(思考場療法)等、世界的に効果の認められた技法も用いながら、丁寧にトラウマの治療やケアにあたっています。
GTEPについて
当院では、G-TEP(Group-Trauma Episode Protocol)の準備を行っております。これは現在の心身の状態に影響を与えた共通の被害や被災体験を持っている人たちへの集団心理療法です。Shapiro,Eが開発してシリア難民などを対象に効果をあげており、集団の力も活用しながら、効率的かつ効果的にその体験の記憶を処理しながら症状の軽減を図っていきます。これにより、今まで個別にしかできなかったPTSDに対するエビデンスのある心理療法であるEMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)を、集団に適応する可能性が広がりました。
当院の仁木啓介理事長は、G-TEPの啓発普及のため、熊本、和歌山、名古屋、東京(4/8予定)、関西(7/8予定)といった大規模災害が起こった、または想定される地域にて研修講師をつとめており、発災後の心のケアの予防的な活動を行っております。G-TEPの提供により、多くの方々が心理的な健康を回復されることを願っています。