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PTSD関連FAQのページ

Q. 最近TV等でPTSDという言葉を聞きますがPTSDとは何ですか?

A. 心的外傷後ストレス障害の事です

PTSDとは、Post-TraumaticStressDisorderの略で心的外傷後ストレス障害の事です。
この病気は、アメリカでベトナム帰還兵が次々と心の不調を訴え、アルコール中毒になったり、自殺を企てたり、社会生活を営めなくなったりが目立ち、精神科医のグループが帰還兵のカウンセリングを通して確立した概念です。
我が国では、あまり馴染みがありませんでしたが、阪神・淡路大震災のあと、注目を浴びるようになりました。
被害にあわれた方々が、復興後も心の不調を訴え、そこで初めて、「心的外傷後ストレス傷害」という名前にスポットが当てられるようになりました。

Q. PTSDについてもう少し詳しく教えて下さい

A. ほとんどすべての人に著しい苦痛となるものとされています

★PTSDが

  1. 3ヶ月未満に発症するものを「急性PTSD」
  2. 3ヶ月以上に発症するものを「慢性PTSD」
  3. 外傷6ヶ月以後に発症を「発症遅延PTSD」
  4. 事件後一ヶ月までの障害を「急性ストレス障害(ASD)」

といいます。一般にPTSDで言われている心的外傷とは、通常の人が経験する範囲を超えた出来事で、ほとんどすべての人に著しい苦痛となるものとされています。
また、PTSDと同一ではありませんが、心的外傷の初期症状で急性ストレス障害(ASD)を起こすことがあります。心的外傷の初期症状として、感覚や感情の鈍麻ないし麻痺、疎隔体験、離人体験、記憶の喪失、興奮、遁走、ないしは心悸昂進、発汗等の自律神経昂進症状がみられます。この症状はPTSDの症状に類似しています。
症状の発症が、心的外傷から4週間以内で、持続期間が4週間以内となっています。しかし、PTSDの初期段階もこの中に含まれている場合もあります。

PTSDの症状として、外傷記憶が夢や錯覚やフラッシュバック(心的外傷体験時の恐怖等が再現される事)を引き起こし、本人はこれを避けるためにこの外傷を思い出させるような刺激を極度に避けること、そしてそのために生ずる不眠や焦燥や集中困難、過覚醒(驚愕反応の亢進等)がこの診断基 準に加えられ症状が1ヶ月以上持続します。また、PTSDは他の不安障害、気分障害、薬物依存を合併しやすいのも大きな問題点です。

Q. PTSDはどうやって診断されますか?

A. 下記の診断基準にそって診断されます。

【外傷後ストレス障害(PTSD)DSM-4診断基準】

  1. 患者は以下の二つがともに認められる外傷的な出来事にさらされた事がある。
    1. 実際にまたは危うく死ぬまたは重傷を負うような出来事を、一度または数度、または自分または他人の身体の保全に迫る危険を患者が体験し、目撃し、または直面した。
    2. 患者の反応は強い恐怖、無力感または戦慄に関するものである。
      ※子供の場合はむしろ、まとまりのないまたは興奮した行動によって表現される事がある。
  2. 外傷的な出来事が、以下の一つ(またはそれ以上)の形で再体験され続けている。
    1. 出来事の反復的で侵入的で苦痛な想起で、それはイメージ、思考、または知覚を含む。
      ※小さい子供の場合、外傷の主題または側面を表現する遊びを繰り返す事がある。
    2. 出来事についての反復的で苦痛な夢。
      ※子供の場合は、はっきりとした内容のない恐ろしい夢である事がある。
    3. 外傷的な出来事が再び起こっているかのように行動したり、感じたりする(その体験を再体験する感覚、錯覚、幻覚、および解離性フラッシュバックのエピソードを含む、また覚醒時または中毒時に起こるものを含む)。
      ※小さい子供の場合、外傷特異的な再演が行われる事がある。
    4. 外傷的できごとの一つの側面を象徴し、または類似している内的または外的きっかけにさらされた場合に生じる、強い心理的苦痛。
    5. 外傷的出来事の一つの側面を象徴し、または類似している内的または外的きっかけにさらされた場合の生理学的反応性。
  3. 以下の三つ(またはそれ以上)によって示される、(外傷以前には存在していなかった)外傷と関連した刺激の持続的回避と、全般的反応性の麻痺。
    1. 外傷と関連した思考、感情または会話を回避しようとする努力。
    2. 外傷を想起させる活動、場所または人物を避けようとする努力。
    3. 外傷の重要な側面の想起不能。
    4. 重要な活動への関心または参加の著しい減退。
    5. 他の人から孤立している、または疎遠になっているという感覚。
    6. 感情の範囲の縮小。(例=愛の感情を持つ事ができない)
    7. 未来が短縮した感覚。(例=仕事、結婚、子供、または正常な一生を期待しない)
  4. (外傷以前には存在していなかった)持続的な覚醒亢進症状で、以下の二つ(またはそれ以上)によって示される。
    1. 入眠または睡眠維持の困難。
    2. 易刺激性または怒りの爆発。
    3. 集中困難。
    4. 過度の警戒心。
    5. 過剰な驚愕反応。
  5. 障害(基準B,C,およびDの症状)の持続期間が一カ月以上。
  6. 障害は、臨床的に著しい苦痛または、社会的、職業的または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

    ▼該当すれば特定せよ。
    急性症状の持続期間が三カ月未満の場合。
    慢性症状の持続期間が三カ月以上の場合。

    ▼該当すれば特定せよ。
    発症遅延症状の始まりがストレス因子から少なくとも六ヶ月の場合。

Q4. PTSDは誰でもなるのですか?

A4. PTSDになる人と、ならない人がいます。

同じ経験をしているのに、PTSDになる人と、ならない人がいます。個人差といえばそれまでですが、個人、個人で ストレスに対する抵抗力(脆弱性)が違うためだと思われます。ストレスの脆弱性の原因は、まだはっきりとしたものは分かっていませんが、脳の発達、DNA等の分子遺伝学、心理社会的な発達の問題等、 様々な方面から現在研究がなされているところです。前述した様な有名な事件ばかりでなく、女性がレイプされたり、長期に繰り返される、幼児虐待やいじめ、 本人にとってかなりショックな出来事の後にも心的外傷後ストレス傷害になることもあります。災害や犯罪の後に起こる、心身の不調がPTSDであるわけですが、ストレスに対する抵抗性が極端に低い人や過敏 な人の場合、周囲の人にとっては些細な問題であっても、その人にとっては人生が変わるような大きな出来事かもしれません。すると、広い意味でPTSDに近い状態になり得ると思われます。周囲にその人を受け止めたり、支えたりする環境の違いでも この心的外傷は変化してきます。
つまり予防をしたり、適切な対応でこの障害に対処することができます。